元ワコール人間科学研究所 所長 篠崎顧問に学ぶユニフォーム基礎知識|第1回(前編)

FOLKがニットではなく布帛にこだわる理由
~布帛とニットの違いと特徴~

フォーク営業M:
フォークの企画は「布帛(織物)」や「バイアス」っていつも説明してくれるけど、ニット(編み物)との違いって何だろう?
特徴を分かりやすく説明してくれないかな~。
営篠崎顧問:
私がご説明しましょう!
図を用いて説明すれば、簡単に違いが分かりますよ。
フォークがなぜ、布帛(織物)にこだわり続けるのかもきっと理解して頂けると思います。
少し内容が長いので、前編・後編に分けて説明します。

布帛(織物)とニット(編み物)の違いと
その特徴について

フォークのユニフォームは、生地の特性を最大限に生かすデザインをしています。背中をバイアス方向に裁断している7023SCシリーズはその最たる例と言えます。 なぜ私たちが布帛にこだわり続けるのか、その理由をまずは布帛とニットの違いからご説明します。
生地の種類と構造
生地には織物と編物の2つの種類があります
織物

織物は上の図の様に経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交差させて織った布地です。
編み物

編物は経糸や緯糸という概念はなく1本の糸を使ってループ状に編んだ布地です。
それぞれの代表的な組織と特徴
織物

丈夫で型崩れが少なく、形態が保ちやすいのが特徴です。ストレッチ性では編物に負けてしまいますが、しっかり感と上質感を求めるには織物が向いています。
・ブラウス、Yシャツ、作業服、ユニフォームなどに使用されています。
編み物

ストレッチ性が優れており、しわになりにくく、通気性が良いのが特徴です。丈夫さやしっかり感では織物に負けてしまいますが、動きやすく、楽な着心地を求める場合は編物が向いています。
・肌着、Tシャツ、スポーツウエア、ユニフォームなどに使用されています。
ニットと布帛のメリット・デメリットと特徴
織物
〇 生地にハリがある
〇 着用や洗濯をくり返しても型崩れしにくい
〇 着用時に体のラインを拾わない
× 糸と糸の間の密度が高く、通気性が低い
× 繊維がギュッと詰まっていて、シワになりやすい(折りジワ、たたみジワ)
× 伸縮性はあまりない
編み物
〇 縦にも横にもよく伸びる
〇 糸と糸の間の密度が低く、通気性が高い
〇 糸と糸の間が空いていて、シワになりにくい
× 生地にコシはない
× 着用や洗濯をくり返すと型崩れしやすい
× フィットして体のラインが出やすい。
× 下着のラインが表に響く
FOLKがニットではなく布帛にこだわる理由
織物と編物それぞれに長所があって、甲乙つけがたい。
メディカルユニフォームとして最終的に織物・編物どちらの生地を使えばよいのか?
選び方の基準
●その現場での仕事に伸縮性はどの程度必要か?
●医療従事者の着用時の快適性と、来院する患者様に与える印象の、どちらを優先するか?
●病院の温湿度環境や業務内容において、通気性や保温性はどの程度必要か?
●洗濯納品はハンガーか、たたみか?
●体のラインが出たり、下着のラインが響くことをどの程度防ぐ必要があるか?

ZIPスクラブをはじめとするFOLKのメディカルウエアは編物(ニット)ではなく織物をメインに採用しています。それは丈夫で型崩れが少なく上質感があり、きっちりした印象で患者様に安心感や信頼感を与えるからです。

後身頃をバイアス使いにすることで動きやすさアップ

7023SCはイリアスマストという生地を使用しています。イリアスマストは帆船の帆をイメージして開発した頑丈な生地なのでほとんど伸縮性がありません。
しかしバイアスを活用すればしっかり伸縮します。動作による皮膚の伸縮が大きい背中の生地をバイアス使いにすることで、タテ・ヨコのストレッチ性が向上し動きやすくなりました。

編物ほどストレッチ性はありませんが、動作による皮膚の伸縮を考慮し、背中の生地をバイアス使いすることによって医療従事者が快適に仕事ができるようにしています。
営篠崎顧問:
どうですか?フォークが布帛を使い付受ける理由について、分かって頂けましたか?
次回は、「見た目」について解説したいと思います。7023SCが愛され続ける理由を、着用検証資料から紐解きます。


フォーク営業M:
最近の布帛製品には高ストレッチの機能糸を使用していますし、布帛とニットのいいトコ取りをした、背中ニットのスクラブもありますので、ストレッチを求めるお客様へ自信をもって伝えられそうです!
後編の解説も楽しみです!


フォーク株式会社 製品企画開発顧問
篠崎 彰大氏
幅広い知識と経験を活かし、着心地の良い制服とはなにかを、データを用いて多角的に研究し製品を開発するプロジェクトを指揮しています。「Wacoal HI collection(ワコール HI コレクション)」をはじめ、多くの製品開発に携わっています。