スクラブ(医療や介護のユニフォーム)のメリット・デメリットや基本知識を紹介
【スクラブとはどんな種類のウエア?】

スクラブと聞くと、一番に思い浮かぶのはもしかしたらスキンケアやニキビ予防、角質や皮脂・毛穴のケアといった目的で洗顔やボディケアに使用する、粒子を含んだ洗顔アイテムのほうかもしれません。
本記事で解説するのは、医療や介護、エステといった現場で使われているユニフォームの「スクラブ」です。
実はこちらのスクラブも、「ゴシゴシと洗う」「こすり落とす」といった意味の「scrab」が語源となっていて、強く洗ったとしても痛みにくく、さまざまな現場でのプロ用途に応えられるウエアなのです。
(※語源については、清掃作業やこすり洗い(scrubbing)をする人々が多く着用していたという説や、手術室で手を洗浄する際に用いられる「スクラブ(scrub)ブラシ」に由来するという説などもあります)
スクラブの一般的な特徴を詳しくご紹介します。
耐久性が高く、色あせもしにくい
医療用スクラブで使われている素材は、ポリエステル100%であったりポリエステルと綿の混合素材であったりします。堅牢度の高いポリエステルを使用しているため、ウエアが長いあいだ劣化しません。
医療の現場で着用されることから、ハードな洗濯に耐えられる耐久性、医療や福祉の現場での医師やスタッフのさまざまな動きにも耐えられる、ほどよい伸縮性(ストレッチ)、暑さ対策の通気性などに配慮して作られています。また、衛生的な状態を保てるよう、制菌加工や防汚加工がなされている商品もあります。
とても細い糸を束ねて織り上げられているため、シワのできにくいしなやかさがあり、洗濯・手洗いを重ねてもハリやコシが維持され、またポリエステル素材の特性により色あせや色落ち、洗濯時の色移りなども発生しにくくなっているのです。
基本的なデザインはVネック&半袖
スクラブの基本的なデザインは、襟ぐり(ネックライン)がVネックで、腕部分は半袖です。
医療従事者が動きやすく、着脱もしやすく、また袖口が細やかな作業や腕を大きく動かす際にも邪魔にならない、機能性の高いウエアなのです。
前開きタイプとプルオーバータイプがある
スクラブには、大きく分けて前開きのタイプとプルオーバータイプがあります。
前開きは、その名のとおりウエアの前部分にジップ(ファスナー)が付いていて、完全な開け閉めができるようになっているウエアです。2014年にフォークが発売した「ジップスクラブ®」がエポックメイキングとなり、広く着用されるようになりました。頭からかぶらなくてすむことから、髪型の崩れや、お化粧が付いてしまうことが気になる方にも向いています。
▼「ジップスクラブ®」についてはこちらもぜひご覧ください
製品開発ストーリー|グッドデザイン賞受賞の「ジップスクラブ®」誕生ストーリー
一方でプルオーバーとは、体の前部分にも後ろ部分にも基本的に開きはなく、Tシャツのように頭からすっぽりとかぶって着るタイプです。ゆったりとした大きめのサイズ感のものが一般的で、また商品によっては襟ぐりや肩部分にだけジップやボタンがあり、ウエアの着脱時に開口部を充分に広げられるようなものも多くあります。
親しみやすいカジュアル感がある
患者さんへあたえる印象という面で考えると、スクラブは威圧感が抑えられた、とてもカジュアルなユニフォームです。例えば白衣と比べても、形式ばった部分や堅苦しさのようなものがなく、患者さんや接する人々へ親しみやすさを感じてもらいやすいでしょう。
また、カラーバリエーションも商品ごとに、落ち着いた色合いのものからくっきりとしたビビッドカラーまで、さまざまな色が用意されていることが一般的です。
役割ごとに制服の色選びを工夫すれば、親しみやすくも心強い、話しかけやすくて心が安らぐ、などさまざまな印象を持ってもらいやすくなります。
【ケーシーやチュニックとの違い】

医療現場の一般的なウエアや制服というと、スクラブのほかにドクターコートやケーシー、チュニックなどもあります。コートは主に医師がスクラブの上に羽織るものです。
ここでは、ケーシーとチュニックについて、スクラブとも比較しながらそれぞれの違いをみてみましょう。

ケーシーの特徴
「ケーシー」は、半袖でタートルネック(セミハイネック)風の丸首を採用した医療ウエアです。1962年に放送された海外医療ドラマ「ベン・ケーシー」の流行により男性医師らに白のケーシースタイルが定着しました。
白が潔白、清潔、清楚といったイメージとつながることも、医療業界に定着した背景にあると考えられます。
今でも、外科医や歯科医、作業療法士の方々などに愛用されています。
スクラブほどにはカジュアルにならず、フォーマルな印象を残しているという点が特徴です。

チュニックの特徴
「チュニック」とは、一般の洋服においてはワンピースよりも丈が短く、ブラウスよりは丈が長い、お尻が隠れるあたり~膝丈くらいまでのトップスのことを指します。医療ウェアにおいては、女性向けのセパレートタイプの制服の上衣をチュニックと呼びます。古くはワンピースタイプの看護衣が主流でしたが、動きやすいパンツスタイルに移行した中で生まれました。
今でも看護や介護向けのウエアとして使用されており、女性向けであることから、ウエストが細く見えるシルエットや、デコルテラインが美しく見える開いた首回りなどデザイン性の高いウェアが多くあります。
パンツスタイルと組み合わせて活動的なスタイルを実現しながらも、可愛らしさであったり、患者さんや要介護の方々への奉仕やおもてなしの心であったりといった部分が表現しやすいのもポイントです。
スクラブ / ケーシー / チュニック のポイント比較
スクラブとケーシー・チュニックとの主な違いを表でご紹介します。
スクラブ | ケーシー | チュニック | |
袖 | 半袖 | 半袖 | 半袖 |
首元 | Vネック | セミハイネック | 襟付き、 デコルテまで開いたUネック |
丈 | 腰丈 | 腰丈 | 腰丈~ひざ丈 |
カラーバリエーション | 落ち着いた色から 鮮やかな色まで豊富 | 主に白色や落ち着いた色 | 主に白色や落ち着いた色 |
医療現場での機能や印象 | 耐久性に優れ動きやすく カジュアル | 動きやすくカジュアルで スクラブよりフォーマル | 動きやすくカジュアルで 可愛らしい印象 |
特に人気の業種・職種 | 外科医・看護・歯科医・ 介護・エステ など | 医師・歯科医・ 作業療法士 など | 看護・歯科医・ 介護・エステ など |
【スクラブの発祥はアメリカの医療現場】

現代において医療や介護・エステなどさまざまな現場で活用されているスクラブですが、その歴史を紐とくと20世紀前半ほどの手術の現場までさかのぼります。
1930年代~1940年代に、米国を中心として外科手術の大きな発展がみられ、医師や看護師は手術時に専用の衣服を着用するようになりました。
そして第二次世界大戦後には、使い捨て型のスクラブの原型が開発され、当時もっとも必要とされていた感染症対策の面で、大きな効果を発揮したと言い伝えられています。
この頃のスクラブは手術室の照明反射が目の負担にならぬよう、そして血液が目立つのを軽減するよう濃い緑色や青色が主流だったといわれています。

1960年代以降には、スクラブの利用がアメリカやヨーロッパを中心に世界へ浸透していき、また着用するシーンも手術だけでなく、一般的な医療現場まで広がっていきました。
それにつれ、外科医以外の医師たちや看護師も着用するようになり、緑や青以外のさまざまなカラーも登場しました。
日本では、明治維新以降の西洋医学導入にともなってまずは白衣が取り入れられましたが、1970年代~1980年代にはスクラブも使われ始めたといわれています。
当初は手術室での使用がメインでしたが、感染対策の面や機能性の高さから評価が広まり、次第に医療全般へ利用が拡大していきました。フォークは2009年にそれまでなかった、赤やオレンジ、ネイビーなど鮮やかな9色のカラースクラブを発売し、白衣のカラー化を提案しました。カラースクラブは医療現場に受け入れられ、その後も本格的にカラーバリエーションを増やし続けています。

▼フォークのカラースクラブ誕生の歴史についてはこちらもぜひご覧ください
製品開発ストーリー|「医療の現場を生き生きとカラフルに!」
白衣の変遷とフォークの人気カラースクラブ誕生の歴史
現代では、スクラブが持つ取り扱いのしやすさ、動きやすさ、耐久性だけでなく、機能面とデザイン面においてさまざまな改良・改善がなされた豊富なラインナップのスクラブ製品が展開されています。
【スクラブのメリット】

比較的、低価格で導入できる
スクラブはシンプルな構造のウエアであるため、ケーシーと比較すると低価格で導入できるものが提供されています。例えば大人数のスタッフがいる病院で洗い替え用も含めてたくさんの枚数を導入する場合でも、コストを抑えられます。
丈夫で、汚れも落としやすい
スクラブは基本的に、石油系の化学繊維であるポリエステルでつくられています。衣服の劣化がしにくく、また洗濯や手洗いでゴシゴシ洗ってもシワになりにくく、色落ちもあまり発生しません。
医療現場での血液や薬品といった取れにくい汚れ、食事介助での食べ物の汚れなどが付いても、生地を劣化させることなく徹底的に洗えますし、乾燥もさせやすいためこまめな洗浄にも対応できます。
速乾性が高く、そのほかさまざまな生地性能が高められた製品がある
スクラブで使われるポリエステルは、速乾性の高さが特徴です。
医療の現場、介護の現場などで大量の汗をかいてしまったり、濡らしてしまったりということがあっても乾きやすく、洗濯してもすぐ乾くので、頻繁に洗えて衛生的にも安心です。
また、スクラブのさまざまな製品には以下のような、特徴的な複数の機能をあわせ持つものもあります。
・防塵性や防汚性をもつ汚れにくいスクラブ
・静電気の起きやすい季節や、電子医療機器を扱う際にも安心な制電性をもつスクラブ
・女性でも安心して着用できる透け防止のスクラブ
・激しい動きにも対応できる伸縮性をもち、なおかつ軽量なスクラブ
実務上の使いやすさの面で工夫された製品もたくさん
スクラブの人気製品の中には、メモ帳やペンを収納しやすく、不意の飛び出しはしにくい大型ポケットが付いていたり、スマートフォン用の胸元ポケット、ストラップを付けられる肩フックがあったりと、実務面での利便性が高められたものが多くリリースされています。
スクラブのデメリットになるかもしれない注意点

さまざまな面でメリットの多いスクラブですが、状況によってはデメリットとなるかもしれない点もあります。
導入時には、以下のようなポイントに当てはまらないかにも念のため注意しつつ、検討しておくとよいでしょう。
カジュアルな印象を避けたい場所・場面には合わないことも
本記事でここまでご紹介しているとおり、スクラブというウエアが持つ「カジュアルさ」は大きなメリットでもあります。しかし例えば権威感のある白衣の医師や看護師のほうがより信頼できる、と考えるような高齢患者が多い現場(特に診察の現場)などでは、スクラブだとニーズに合わない可能性もあります。
とはいえ、スクラブは日本の医療現場でも広く普及し、患者さんの目にも浸透していますので、スクラブがただカジュアルなウエア、という印象は薄れつつあるといえるでしょう。
深いVネックが気になる場合がある
スクラブは、着脱のしやすいVネックの首元が特徴です。
ただ、Vネックは例えば前かがみの姿勢になったときなどに胸元が見えやすいため、ウエアを着る医師や看護師の方の中にも、そして患者さんたちの中にも「少し気になる」という人がいるかもしれません。
ひとくちにスクラブのVネックといってもさまざまな形状があり、またスクラブの下に着用するスクラブインナーというものもありますので、対処は可能です。
【スクラブインナーもチェック!】

スクラブインナーは、スクラブのすぐ下に着用する下着です。
医療や介護の現場などで求められるニーズ・要件を踏まえた設計がなされたインナーウエアであるため、ぜひあわせて導入を検討しておきましょう。
スクラブ専用のインナーには以下のようなものがあります。
・吸汗速乾性にすぐれている
・着圧タイプで体にフィットし、だぶつかない
・ローネックタイプが一般的で、スクラブのVネックの開きが気になる場合もフォローできる
・袖の長さは、手洗いがしやすい七分袖
・黒色の製品が多いものの、肌の色になじむベージュなどもある
【デメリットや失敗を避けるための
スクラブの買い方・購入時のポイント!】

スクラブを新規に導入する際には、ぜひ以下のポイントをチェックしてみてください。
[ Point!! ]
実際の肌触りやフィット感の確認は大切!
スクラブの生地は耐久性や通気性、防汚性などさまざまな機能があることも魅力ですが、医師や看護師、介護士の方々が着用して毎日楽しくはたらくためには、ウエアの着心地や肌ざわりもとても大切です。カタログスペックでしっかり検討したつもりでも、いざ導入してみて着心地が思っていたのと違った、肌への擦れや刺激が気になる……という事態を避けるためにも、サンプル貸し出しに対応しているサービスを選んでおけば万全です。
[ Point!! ]
納期の面ではメーカー直営の販売サイト&早めの注文が便利
医療や介護業界で、スクラブの採用ケースはとても増えています。
そのため、ユニフォーム切り替えの機会となりやすい年度末などには特に、注文したくとも在庫がない、あるいは納期が思ったより先になってしまう……ということもあります。
希望する導入タイミングに確実に間に合わせるためには、注文が集中しがちな年度末の準備時期(12月~1月頃)よりも前に、なるべく早めに問い合わせや発注を進めておきましょう。
また、スクラブのメーカーが決まっている場合には、そのメーカーの直営サイトで購入すると早く手配できる場合があります。
オリジナルデザインや刺繍入れに対応しているサービスを選ぶ
病院や介護施設、エステなどでスクラブを導入する場合、スタッフ名やチーム・施設名を刺繍入れしたり、オリジナルデザインのプリントをしたりといったニーズもあるでしょう。
このようなサービスに対応しているかどうかは販売店によって異なりますので、事前にチェックしておきましょう。
「お直し」にどこまで対応してくれるかもチェックしておく
頑丈で耐久性の高いスクラブであっても、実務で日々着用し、何度も洗濯をしているうちに何らかの原因でファスナー部分が壊れたり、ポケットにほつれが出たりということがあるかもしれません。
このような場合に、無料・短期間で補修や修理をしてくれるサービスであれば安心です。
▼製品の無料お直し
ご購入前の無料サンプル貸し出し(枚数10枚まで / 企業様、病院様、法人様に限ります)、オリジナルデザインや刺繍入れに対応のメーカー直営サイト【FOLKの白衣・スクラブ】はこちらです!
→FOLKの白衣・スクラブ
【メリット・デメリットを比較検討しながら
最適なスクラブを導入しましょう】
医療や介護、エステの現場などでユニフォームとしての活用が広まっている、スクラブについてさまざまな情報をお届けしました。
スクラブは、低価格で導入しやすく、洗濯性、耐久性にすぐれ、豊富な機能とデザインのバリエーションから選ぶことができます。
本記事でご紹介したようなさまざまなメリット・デメリットなども踏まえたうえで、ぜひニーズに合うスクラブを選定してみてください。