ひつじ救急クリニック
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色が変えた、病棟の空気
「美術館のような診療所」を目指す医療法人が、ユニフォームに込めた哲学
職種ごとに異なるカラフルなスクラブが、空間に生き生きとした彩りを加える

正面入口をくぐると、鮮やかな絵画が目に飛び込んでくる。
廊下には花を模した時計が掛かり、壁には大型の抽象画が並ぶ。
そこで働くスタッフたちの装いもまた、決して単調ではない。ピンク、オレンジ、グリーン、パープル——職種ごとに異なるカラフルなスクラブが、空間に生き生きとした彩りを加えている。
ひつじ救急クリニックは、救急・入院・在宅を一体的に担う地域密着型の診療所。
急性期病院でキャリアを積んだ医師が立ち上げた組織で、開業からわずか5年で職員数は160人にまで成長した。外来診療から訪問診療、入院対応まで、患者が施設をまたいで医師が変わることなくケアを受けられる仕組みが最大の特徴。さらに、アニマルセラピーやアートセラピーを積極的に取り入れ、「日本一のセラピーのできる医療法人」を目指している。がんの末期患者の看取りにも正面から向き合い、生と死の両極を同時に支える。
スタッフ一人ひとりが「絵の具」
——カラフルなユニフォームに込めた意図
フォーク株式会社のユニフォームをこの施設が採用した背景には、単なる「見た目の刷新」以上の思想があった。施設内に飾られた画家・杉田陽平氏の作品に着想を得て、スタッフ全員を「一枚の絵を描く絵の具」に見立てるコンセプトが生まれた。
「杉ちゃん(画家)が絵の具で絵を描くように、うちは職員一人一人を絵の具だと思ってるんですよ。俺も含めて。一枚の絵をみんなで描こうよっていうコンセプトなんです」と岸洋二院長が語ってくださった。


このコンセプトのもと、色選びには明確な基準が設けられた。アースカラーや落ち着きすぎた色調はあえて避け、躍動感と鮮やかさを重視。ショッキングピンクや鮮やかなオレンジなど、杉田氏の作品に共鳴するような「派手でも美しい色」が選ばれた。職種ごとに色が異なり、看護師はピンク、ナースエイドはオレンジ、リハビリスタッフはグリーン、薬局スタッフはブラウン系と「それぞれの役割が色で見える設計」になっている。
「あまりくすんでいるはないんです。アースカラーとかはあえて選んでいません。そこはちょっと派手な色で組み合わせて、杉ちゃんのはダイナミックな絵のように、ああいう躍動的な絵にしようぜっていうコンセプトなんです」
「オレンジを背負う」
——色が生む誇りとモチベーション

ユニフォームの色は、スタッフの意識にも直接的な変化をもたらした。
特に注目されるのが、ナースエイドへの効果だ。
看護師を補助するナースエイドは、医療現場において「サポート役」として目立ちにくい存在になりがちだという。しかし、鮮やかなオレンジのスクラブを纏うことで、その立ち位置が変わった。
「ナースエイドさんってさ、サポートの存在なので主役になれないです。だけど、あの色のオレンジを着させたらいきなりその病室の中で主役になるんだよね」と明るくお話をしてくださった。
患者がオレンジのスクラブを認識するようになり、「あ、来てくれた」という親しみが生まれる。スタッフ自身も「自分はオレンジという色を背負っている」という意識から、自然とプライドとモチベーションが高まるという。色が役割の誇りを可視化する。
「自分があのオレンジなんだってなると、そのオレンジを背負ってやってるから、もう頑張んないといけないんです」
自由と責任の表裏
——「信頼」を前提にした服装規定の哲学
このユニフォーム採用の背景には、服装規定に関する施設全体の思想も深く関わっている。この施設では、髪の色やアクセサリーに関する制限が大幅に緩和されている。理事が金髪やブルーの髪にしていることが、スタッフへの「いいんだ」というメッセージになっている。


ただし、自由が許されるのは「接遇を徹底する」という前提のもとだ。
外見が個性的であるほど、患者や家族からの視線は厳しくなる。
だからこそスタッフは、言葉遣いや態度で信頼を積み重ねる必要がある。


「やれるんだったらやっていいよって言ってます。その代わり人一倍接遇とかは絶対にきちんとしろとも言っています。だからみんな覚悟がいるんです。」
優秀なスタッフを信頼して自由を与える——この施設の姿勢は、ルールで縛ることよりも「自律」を促す組織文化の表れだ。服装の自由は、トップからの信頼の証でもある。
「その人たちを信用して、どんな格好してもいいよって。ちょっと茶髪にしてもいいけど勉強してちゃんとやるんだろうって。信用してあげることが大事じゃない?」
病棟が「華やか」
——現場で起きた変化
カラフルなユニフォームが実際に病棟に並んだとき、その光景はスタッフ自身も予想以上のものだったという。看護師のピンク、ナースエイドのオレンジ、薬局スタッフのブラウン、リハビリスタッフのブルーやグリーンが一堂に会したミーティングの場は、まさに「絵画」そのものだった。
「看護師のピンクがいて、ナースエイドのオレンジがいて、それで薬局の茶色がいて。もうすっごいカラフルになってて。病棟が華やかに見えてね、なんか楽しかったよ」


アニマルセラピーやアートセラピーと同様に、ユニフォームもまた「環境のセラピー」として機能している。
患者が毎日目にする病棟の色彩が、不安や緊張をやわらげ、穏やかな時間の流れを支える。
色は、医療行為ではない。しかし、患者の日常に確かな影響を与えている。

ひつじ救急クリニックがフォーク株式会社のユニフォームを採用した理由は、機能性や耐久性だけではありませんでした。「美術館のような診療所」というビジョンを現実のものにするために、色彩の鮮やかさと質感の両立が求められた。スタッフの個性を尊重し、患者に喜びをもたらし、空間全体をセラピーの場に変える。
——ユニフォームは、その哲学を体現する「装い」として選ばれた。
救急から看取りまで、生と死の両極を支えるこの施設において、色彩の力は今日も人の心を動かし続けている。
ご着用いただいている品番

7000SC
スクラブ(PANTONE)
医療業界のスクラブの中でも高い人気のPANTONE(パントン)スクラブは、シンプルでスタイリッシュなデザインと豊富なカラーバリエーションが魅力で長く愛される定番スクラブ。2025年カラーオブザイヤー「モカムース」のスクラブが登場しました。モカムースは、おいしさを連想させながら心地よさを求める、気持ちに寄り添うカラー。豪華でリッチな印象と同時に落ち着きを与えるこの色は、洗練された佇まいとバランスの良さが魅力。 さまざまな個性・スタイルと調和して、スタッフとチーム、そして患者さまとの関係を、あたたかく味わい深いものとします。ポリエステル65%、綿35%のダンガリーシャツのような肌触りと、使い込むほど風合いの出る素材を使用。かがんでも胸元の開きが気にならないので女性も安心して着用可能。ベーシックなデザインの男女兼用PANTONE(パントン)スクラブです。
【素材】
スクラブポプリン(ポリエステル65%・綿35%)
【仕様】
左胸ポケット/両腰ポケット
撮影協力:株式会社東基