事務服・医療用白衣・介護ユニフォーム・学生服 なら、明治36年の創業のユニフォームメーカー「フォーク」

解説!ユニフォーム開発の技と流儀

TECHNIQUES AND STYLES

クールビズの知識を使った涼しさを感じるスクラブ

著者情報 Author

フォーク株式会社 製品企画開発顧問
篠崎 彰大

2007年に株式会社ワコール人間科学研究開発センター(旧、ワコール人間科学研究所)所長として、フォーク株式会社と女性向け白衣「ワコールHI コレクション」の共同開発をリード。現在は、データに基づく商品企画や、製造ノウハウに関する豊富な知見から、フォーク株式会社 製品企画開発顧問として様々なアドバイスを行う。

涼しさのポイントは汗が蒸発しやすいこと

暑くなると体温が上昇して汗が出てきます。発汗は熱くなった体を冷却しようとする生理現象です。
ただ汗には効果的な汗そうでない汗(無効発汗)があります。

効果的な汗とは、しっかり“蒸発”して体を冷却してくれる汗のことです。汗腺から皮膚表面に出てきた汗は、周囲の空気と接触したとき水蒸気となって蒸発します。そのときに周囲の熱を吸収するので体温が下がります。これが気化熱による冷却効果です。

蒸発しなかった汗は液体としてそのまま体の表面に残ります。
そしてべたつきの原因となります。

汗をかきやすい部位は皮膚温の高温部分の分布と似ていて、正面では首からアンダーバストにかけての体の正中部分。背面では首から背骨に沿って後ウエストまでの後中心部。

これらの部位は汗が液体としてたまりやすい部位でもあります。

この部分の汗を吸い取って素早く蒸発させる生地のスクラブは涼しいと言えます。 

皮膚温の分布は均一ではありません。正面では首から上胸(デコルテ)にかけて、背面では首から背骨の周辺が高温部として挙げられます。

この高温部は、体内の熱が逃げだしやすい放熱部ともいえます。

この部分に蓋をしないようにするか、どうしても蓋をする必要があるなら通気性の良い素材で覆うようにすれば涼しい衣服になります。

衣服の中を風が通り抜けるようにすると、汗がどんどん蒸発します

上記品番:7078SC

汗が蒸発しやすい衣服を作るには、衣服のなかを“風”が通りぬけるようにすればよいのです。
具体的には、襟元や袖口、裾などの開口部を大きくとってゆとりがある構造にすれば、開口部から風が入ってきて衣服の中を通り抜け、換気してくれます。風が入ってくると汗腺から出てきた汗がどんどん蒸発してくれます。
その効果を効率的にするのが「ふいご作用煙突効果」です。

ふいご作用とは、人体と衣服の相対的な動きによる強制的な空気の流れが、着衣からの放熱に影響を与える現象の事で「歩行時など四肢部の動作に伴う動き」「衣服の襟元をつまみパタパタと動かす動作」により発生します。

もう一つの煙突効果とは、服の中に気流を起こすことで熱い空気が服の中にある時、下から上に向かって風が流れる効果です。
この「ふいご作用と煙突効果」の相乗効果でより涼しさを体感できます。

※横浜国立大学 薩本弥生氏
「生活環境懇話会」着衣のふいご作用による換気性能の評価より一部引用

涼しいスクラブは「汗を吸収しやすく」「汗を素早く蒸発させます」


スクラブの主力素材であるポリエステルは、化学繊維なので天然繊維のように汗を吸ってくれません。
しかし糸の断面を異形断面にしたり綿と混紡にすることで、汗を吸うようになります。
異形断面とは、溶解紡糸の際の紡糸ノズルの設計により三角、五角、星形、雲形など様々な断面が存在します。
その特徴としては「吸水性」「軽量性」「保温性」「べたつき軽減」など様々な特徴がありますが、今回は吸水性についてお話しします。
ポリエステルは疎水性繊維なので水分を吸いませんが、異形断面にすることで繊維間の隙間が多くそこに水分をためることが可能となります。また隙間がもたらす毛細管現象により拡散性が上がり、蒸発していきます。
蒸発するときに気化熱の働きによって皮膚表面の熱を奪うので、体温調節に“有効”になります。FOLKはポリエステルと綿を混ぜた綿混生地を使ったり、ポリエステルの異型断面糸を使ったイリアスマストやネオαの生地を使って、汗を吸収しやすく、吸った汗を素早く蒸発させるスクラブを作っています。

まとめ

ふいごから出る空気のイメージ

「ふいご作用と煙突効果」を生かすには、
「良く動く空気層を確保」し、
「放熱部に蓋をしない」デザインが重要となります。

涼しく着るためには程よくゆとりのあるサイズを選ぶことも重要なポイントになります。

涼しさを感じる製品(一例)

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