眼科医|林 孝彦先生
「成功体験こそが、医師を強くする」—— 数理的アプローチとMBAの視点で、眼科医療の限界を超える
理数系の感性が導いた、眼科医としての原点

私はもともと、数式や物理学の世界に魅力を感じるタイプでした。
医学部に進んだ後も、その感性は変わりません。
数ある診療科の中から眼科を選んだのは、眼光学という分野が非常に論理的で、数式で割り切れる美しさがあったからです。
特に心血を注いだのが、角膜移植の中でも極めて難易度が高いとされる角膜内皮移植術(DMEK)手術です。この技術を習得するためドイツ・エアランゲン大学へ渡りましたが、そこにあったのはマニュアル化された教育ではなく、自ら道を切り拓く修練の場でした。オランダ革新眼科手術研究所のゲリット・R・J・メルス(Gerrit R.J. Melles)先生が開発した最先端の理論に触れ、それを自力で臨床に落とし込んでいく。この「数理的な思考」と「徹底した技術の追求」が、現在の私の術者としてのバックボーンになっています。
停滞期を支えた成功体験

順風満帆に見えるキャリアかもしれませんが、20代後半には「仕事が思うようにいかない」と葛藤した時期もありました。そのモヤモヤを打破してくれたのが、「筋トレ」と「実験」だったのです。
当時28歳。トレーニングで筋肉が育つ過程は、やった分だけダイレクトに結果が返ってくる「純粋な成功体験」の場でした。 また、現在の日本大学医学部 主任教授である山上 聡(やまがみ さとる)先生と出会い、実験のイロハを教わります。この経験により、研究成果が現れ始め、成功体験を得ることができました。
以後、顕微鏡手術と個人的興味が合わさり、角膜手術にのめりこみました。
パンデミック下でのMBA取得で学んだ課題への解決方法

現役の医師として働きながらビジネススクールに通い、MBAを取得した理由は、患者さんとスタッフ双方が「ウィン・ウィン」になれる環境を作りたいと考えたからでした。
MBAで学んだフレームワークは、診療のデジタル化や効率化、そして手術室の運用改善に役立っています。しかし、MBAを取得したからといって魔法のようにすべてが解決するわけではありません。大切なのは、学んだ「思考のツール」をいかに現場の泥臭い課題に適応させるか。医師としての直感と、論理的な経営視点。その両輪を回すことで、患者さんとスタッフ双方が「ウィン・ウィン」になれる仕組みづくりを追求しています。
最高の医療は「チーム」という環境から生まれる
手術は私一人で完結するものではありません。アシスタントの医師、麻酔を管理するスタッフ、そして術前術後のケアを担う看護師や視能訓練士。さらには、不安を抱える患者さまを支える受付事務に至るまで、全員が一つのチームとして機能して初めて、最高のパフォーマンスが発揮されます。
私は、関わるスタッフ全員にも「成功体験」を持ってほしいと考えています。スタッフが仕事にやりがいを感じ、輝ける環境を整えること。それが結果として、患者さんへの質の高い医療提供へと繋がるのです。
技術を磨くだけでなく、その技術を最大限に活かせる「場」を創る。それが大学病院という組織の中で私がこだわり続けていることです。

次世代へ。「迷ったら、やってみる」

若い医師たちに伝えたいのは、柔軟性を持ってほしいということ。
最初から完璧な目標を立てる必要はありません。
人の縁や誘いに乗ってみることで、思わぬ方向に道が開けることがあります。
もし、何かをやるか迷っているなら、それは「心の一部がそちらに惹かれている」という証拠です。
「迷ったら、やってみる」
私自身、中学で家を出て寮生活を選んだときも、ドイツへ渡ったときも、根底にあったのはその好奇心でした。失敗を恐れず、自分に合った「楽しめる仕事」を見つけるまで、軽やかに挑戦し続けてほしいと願っています。
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