国の境目が、生死の境目であってはならない。
想いをつなげるスクラブリレー
第一回 医師 伊藤 謙(国境なき医師団日本)
国境なき医師団との関わり
専門は腎臓内科・透析内科。2014年8月に国境なき医師団に入団。
内科医ならではの観察眼を生かしたモノマネは現地スタッフにも好評で、
国境を越えたチーム医療にも役立てている。
ウエアができる、国境を越えた支援活動。
中立独立・公平な立場で、危機に瀕した多くの命の救助活動を展開している「国境なき医師団」(MSF)。世界約70の国と地域で、紛争や自然災害、貧困、感染症の流行などの危機に直面している人びとの救助にあたっています。国境なき医師団のメンバーとして活動している伊藤医師に、この活動への想いをお聞きしました。
医療設備が整っていない場所で自分の知識や経験を生かしたかった。
私がこの活動に参加しようと思ったきっかけは、2011年3月の東日本大震災でした。
当時私が所属していた大学病院で、被災地にボランティアを送るという話があり、私が選ばれていたのですが急きょキャンセルになってしまって。
あきらめきれなかったときに思い出したのが、国境なき医師団でした。
設備が整っていなくて医療を受けるのが困難な方に、私の知識や経験を生かしたいという想いは、以前からあったんです。
国境なき医師団の説明を聞いたときにああこれだと思い、所属していた大学病院も辞めました。私は英語が全く話せなかったので、小さな病院に通いながら必死で勉強しました。
ですが最初に受けた面接では、ものの見事に落とされましたね。
それでも勉強して、めでたく面接に受かって初めてミッションをもらったのは、2014年10月でした。
人種を越えて人を救う経験は尊い。ぜひチャレンジしてほしい。
これまでに、3回ほどMSFのミッションに出向いていますが、日本といちばん違うのは、どの地域でも患者さんが医療をなかなか受けられない境遇にいることです。
病院にかかるお金もないし、そもそも医療施設も不足しています。私は内科医ですが、患者さんの傷口を縫ったこともありました。
ときに理不尽な局面にも遭遇しますが、大事なのは何があろうと患者さんを愛すること。
そうすると冷静さを保てるし、結果いい治療ができる。それは日本にいたときからの私のモットーです。
直接治療した患者さんが笑って帰るのを見ると、よかったという想いと自分の力が世界でも通用するんだという自信が湧きます。
人種を越えて人を救える場に携えることは、大変素晴らしい。
今までの自分や医療を客観的に見直す機会にもなります。
チャレンジしたいという想いが少しでもあるなら、まずは面接を受けていただきたいと思います。
LINK : 募集職種|国境なき医師団
プロフィール
伊藤 謙
特定非営利活動法人 国境なき医師団日本
専門は腎臓内科・透析内科。2014年8月に国境なき医師団に入団。
内科医ならではの観察眼を生かしたモノマネは現地スタッフにも好評で、国境を越えたチーム医療にも役立てている。