今回のテーマ ブルー・青

自然の景色を見る時、そこには圧倒的なボリュームで「青」が存在します。私たちは青に抱かれて生きていると言っても過言ではありません。また、今までに世界中で幾度となく行われてきた色彩嗜好調査で、青は常に上位に位置してきました。人種や民族、性別、年代を問わず人々に好まれる色、それが青です。
この色のもつイメージには、爽やか・清楚・理知的・保守的・憂鬱などがあります。

エーゲ海の青と白

ギリシャ・サントリーニ島。家の壁は石灰で白く塗られ、窓枠やドア、ドーム型をした教会の屋根はすべて青。その背景には真っ青な空と海。この世は青と白だけでできているのではないかと錯覚するほどですが、この島出身の画家クリストフォロス・アシミス氏はこう言います。「真っ白というのはあり得ないのです。光によって、白にはピンクやグレー、さまざまな色が浮かび上がる。白は無限の色。空の青もまた同じです。」だからこそ私たちは、写真ではなく実際にその場に身を置いて、刻々と移り行く色を堪能したいと願うのかもしれません。(クリストフォロス・アシミス氏の言葉・部分引用:『VISA』 2010 AUG+SEP号・特集記事「サントリーニ島の色彩」)

憂鬱なブルー

英語のblueは単に色の「青」という意味だけでなく、「憂鬱な」という意味を含んでいます。I’m feeling blue.といえば「あーあ、落ち込むなぁ」という表現なのだと、NHKが制作した小学生向け英語教材にも紹介されているほど。他にも、マリッジブルーやマタニティーブルーという言葉にblueのもうひとつの意味が現れています。また、「憂鬱な青」を考える時に忘れてはならないのが、アメリカ黒人の間で生まれたブルースです。この言葉の由来には諸説がありますが、ブルースの歌詞の中には、人が生きて行く上での苦悩や悲しみ、さまざまな憂鬱(blues)が多く出てきます。参考文献:『プレキソ英語』April 2012号・特集記事「Colorful World色っていろいろ」)

幸せになるおまじない

「青」は何と様々な顔を持っているのでしょう!! 憂鬱な青とは真逆のお話。欧米の結婚式の慣習にサムシング・フォー (Something Four)といわれるものがあります。これは結婚式当日、花嫁さんが次に挙げる4つを身に着けると幸せになれるというもの。
1:何かひとつ古いもの(Something Old)
2:何かひとつ新しいもの(Something New)
3:何かひとつ借りてきたもの (Something Borrowed)
4:何かひとつ青いもの(Something Blue)。
なぜ青なのかといえば、青は欧米で聖母マリア、すなわち純潔を象徴する色だからなのです。

ブルーモーメント

緯度が高い地域では、夏になると極端に昼の時間が長くなり、逆に夜がとても短くなります。白夜と呼ばれるものです。この時期はたとえ太陽が沈んでも、その後数時間もの間、空が青い光で満たされ続けるのです。この時間帯をブルーモーメント(またはブルーアワー)と呼ぶそうで、幻想的な美しい写真が撮れる時間帯でもあります。写真は5月末のスウェーデン・ストックホルム市内、午後10時半頃の空の色。この地域の建物外壁の色は、日本と比較すると全般的に彩度が高くはっきりとした色あいですが、いわゆる騒色(そうしょく)にならないのは、この地域の光や空の色と調和しているためなのですね。

【執筆・監修】桜井輝子 (さくらい てるこ)

【執筆・監修】桜井輝子 (さくらい てるこ)

国際カラーデザイン協会(ICD)教育本部 関東甲信越支部長、カラーデザインマスター
1967年生 東京都出身。
企業の商品をより魅力的に演出するためのカラーコンサルティングや研修、大学・専門学校での色彩教育、色を用いた販促ツールや教材の企画制作において20年以上の経験と実績を持ち、豊富な知識と現実に則したアドバイスに定評がある。人に役立つ色彩の提案業務を長く続けてきたことが評価を受け、カラーコーディネーターとしては初めて環境色彩コンペティションの審査委員に選出される。その他、海外に向けて日本伝統色をモチーフにした商品のプロデュースを手がけている。東京カラーズ株式会社 代表取締役。

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