今回のテーマ オレンジ・橙黄

赤よりもマイルドで人間に寄り添う色、オレンジ。
オランダにおいては国民的な嗜好色とされインテリアにも多用されています。
2013年4月、オランダ新国王の即位式では街中がオレンジに染まっている様子がメディアを通して伝わってきました。
この色のキーワードとしては「活発・健康・ぬくもり・団らん・笑い」などが挙げられます。

もっとも食欲をそそる色

さまざまな色の中でもっとも食欲をそそる色はオレンジとその仲間の茶色だと言われます。病み上がりで今ひとつ食欲が湧かない時、オレンジのランチョンマットや食器を上手に活用すると良いかもしれません。その逆がブルー。以前「青色ダイエット」というものがテレビや雑誌で紹介されたことがありますが、これはブルーのサングラスをかけて食事をしたり、青色に着色されたふりかけをごはんにかけるというもの。人間の自然な心理とは逆行する色の使い方です。その良し悪しは別としても、色はポジティブに取り扱うほうが理に適っているように思います。

文化人類学から見たオレンジ

文化人類学者バーリンとケイが1969年に発表した基本色彩語に関する研究。世界中で使われているさまざまな言語には、それぞれ「色の概念をあらわす言葉」が存在するのですが、すべての言語に共通して見られるのは白と黒をあらわす色名。次いで赤、黄、緑、青。文化が発達した地域では上記の6色に加え茶色、ピンク、紫、オレンジ・灰色という色の概念が確立され、全部で11のカテゴリがあるというのがその発表の主旨。日本語においても白、黒、赤、黄、緑、青が色そのものを表わす言葉なのに対し、オレンジ(橙黄)はモノ(果実)の名前から借りてきた言葉です。

JIS(日本工業規格)の安全色

日本工業規格で定められ、日々私たちの生活を守ってくれているものに安全色があります。安全色の規定においてオレンジは黄赤(きあか)と呼ばれ、マンセル表色系による基準値が2.5YR 6/14と定められています。色の意味は(1)危険(2)航海・航空の保安施設。救命いかだ、救命具、救命ブイなどがオレンジ色をしているのはこのためです。ちなみに緑と白でおなじみの非常口のピクトグラムは安全色によって規定されているのではなく、1982年に日本国内で制定され、その5年後に国際規格ISO 6309:1987に組み込まれた国際的なものです。

希望の朝日、充足の夕日

夕焼け空がオレンジに染まるのは、光の散乱(レイリー散乱)によるもの。光の色は波長が短いほうから順に青(短波長)→緑(中波長)→赤(長波長)と推移しますが、夕暮れ時に私たちのもとに届く太陽光は日中と比較して大気圏の長い距離を通過することになるため、散乱されやすい短波長の光は地表に届きにくくなってしまいます。後に残った長波長の光こそ、私たちが見ている夕焼けの正体です。朝焼けもこれとまったく同じ原理ですが、見る側としては朝日に希望を託し、夕日を眺めながら充足感を味わいたいものです。

桜井先生がオススメする、オレンジの商品をご紹介

【執筆・監修】桜井輝子 (さくらい てるこ)

【執筆・監修】桜井輝子 (さくらい てるこ)

国際カラーデザイン協会(ICD)教育本部 関東甲信越支部長、カラーデザインマスター
1967年生 東京都出身。
企業の商品をより魅力的に演出するためのカラーコンサルティングや研修、大学・専門学校での色彩教育、色を用いた販促ツールや教材の企画制作において20年以上の経験と実績を持ち、豊富な知識と現実に則したアドバイスに定評がある。人に役立つ色彩の提案業務を長く続けてきたことが評価を受け、カラーコーディネーターとしては初めて環境色彩コンペティションの審査委員に選出される。その他、海外に向けて日本伝統色をモチーフにした商品のプロデュースを手がけている。東京カラーズ株式会社 代表取締役。

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