今回のテーマ ピンク

想像してみてください。今ここにチューブから絞り出したばかりの赤い絵の具があるとします。その赤に、ほんの少しの白い絵の具を加えると何色になるでしょう?そう、きれいなピンクになります。ピンクとは赤の持つパワーを白で薄めた、穏やかでマイルドな愛の色なのです。この色から連想されるイメージとしては「優しい・かわいらしい・安らいだ・幸福な」などが挙げられます。また、ピンクは人の心を優しく包み込む色。ピンクを目の前にしながら、怒りの感情を持ち続けることは至難の業です。

ピンクに染まる東京タワー

年に一度、東京タワーがピンクにライトアップされることをご存じですか?毎年10月1日、乳がん早期発見啓発キャンペーン・ピンクリボン運動の一環として、東京タワーは鮮やかなピンクに染まります。もとは乳がんで愛する家族を亡くしたアメリカの家庭からスタートしたこの運動も、今や世界的な啓蒙活動に。近年では日本人女性の約20人にひとりが乳がんにかかるとも言われていますが、やみくもに恐がることはありません。定期的なセルフチェックで自ら発見することが可能であり、早期発見では約90パーセント以上の人が治癒しています。

ピンクの呼吸法

服やインテリアにピンクを多用すると、エステティック効果が高いことが知られています。アメリカでは、ピンクをイメージした呼吸法よる若返り効果のレポートが発表されているほど!やり方は至ってシンプル。①明るく輝くような生き生きしたピンク色をイメージ②その色を体の中に取り込むように何度か深呼吸③次に特定の患部に向かってピンク色を吸い込み、軽く息を止めながら患部がこうなってほしいと思う状態を心に思い描く④ゆっくりと気持良く息を吐く。毎日継続することが、最も重要なのだとか。
参考文献:『美しくなるカラーブリージング』中央アート出版社

ヤマトナデシコ

英語のPinkはもともと撫子(なでしこ)や石竹(せきちく)の「花」を指す言葉でした。赤が明るく薄くなった色をPinkと呼ぶようになったのは16世紀以降。歴史的には意外と新しい色名ということになります。撫子と聞けば、私たちはすぐに「ヤマトナデシコ」という言葉を思い浮かべることができますが、可憐で繊細、芯の強さをあわせもつ日本人女性を称えるこの言葉、実はピンクの語源ともつながっていたということになります。「花柄といえばピンク」という私たちのイメージも理に適っているということでしょうか?

甘~い色

画像はプロのカラーデザインマスターを目指す方々に「甘い」という味覚を色とカタチで抽象的に表現してもらった作品。甘さという感覚が、見事なまでにピンクで表現されています。これ、ピンクを使うことが条件ではなかったのですよ!色はそこにあるだけで人にメッセージを発信する存在。仕事中に着るスクラブの色が、患者さんを安心させたり、癒したり、それぞれの職務をわかりやすく表現する「機能」をもっているのですね。

【執筆・監修】桜井輝子 (さくらい てるこ)

【執筆・監修】桜井輝子 (さくらい てるこ)

国際カラーデザイン協会(ICD)教育本部 関東甲信越支部長、カラーデザインマスター
1967年生 東京都出身。
企業の商品をより魅力的に演出するためのカラーコンサルティングや研修、大学・専門学校での色彩教育、色を用いた販促ツールや教材の企画制作において20年以上の経験と実績を持ち、豊富な知識と現実に則したアドバイスに定評がある。人に役立つ色彩の提案業務を長く続けてきたことが評価を受け、カラーコーディネーターとしては初めて環境色彩コンペティションの審査委員に選出される。その他、海外に向けて日本伝統色をモチーフにした商品のプロデュースを手がけている。東京カラーズ株式会社 代表取締役。

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